『MdNデザイナーズファイル2024』に掲載されました。
この本に載りたいと思っているデザイナーは多いと思われ、先日知人から「自分もMdNデザイナーズファイルに掲載されたいのだが、どうしたらいいか。アドバイスがほしい」といった連絡がありました。
私の場合、編集部に対して特に働きかけたわけでもないため、選ばれた経緯などは把握していません。一度掲載されただけですし、次年度版で掲載されるのかも不明です。
といいつつ、自分なりの考えを返答しました。
私自身もっと早くに声が掛かると思っていたし、載ってそうで載ってない人もたくさんいるので(中には断っている人もいるだろう)、デザイナー選定のプロセスについて少し考えてみたかったためです。
すこしは若い人の助けになるかもしれませんし、せっかくなのでその返答をまとめ直して掲載しておきます。
ただし、あくまで「デザイナー選定のプロセス」について、私の推測を書いているだけです。もちろん実態とは異なるかもしれませんし、掲載されるためのアドバイスというつもりもあまりありません。
推測1:前段として、掲載デザイナーの構成について
ア)編集部としては当然毎年購入してもらいたいはずで、「去年のを持っているから今年はいいや」とはさせたくない。そのため、掲載されているデザイナーが前年と同じにならないように、適度に入れ替えてマンネリを防いでいる。
イ)同様に「知っている人ばかり、SNSでフォローしている人ばかり載っている本」にもしたくない。読者の購入を促すには「知らなかったけど良さそうなデザイナーと巡りあえた(巡りあえそう)」という体験(予感)が重要。そのため、大御所と有名デザイナーで占められた本にならないよう、適宜「卒業」させて新陳代謝をはかっている。
ウ)仕事のジャンル、作風や年齢、性別、地域が偏らないように網羅的なメンバーとなっている。エディトリアルデザイナーだらけ、40代だらけ、男性デザイナーだらけ、北海道と富山のデザイナーだらけとはならない。明確ではないが、ある程度の「枠」がある。
推測2:デザイナー選定のプロセス
前段をふまえて、以下のようなプロセスを想像しています。
===
編集部にはおそらく“掲載されていない人も含めた”デザイナーのリストがあり、
その中からピックアップし掲載するデザイナーを検討している
その中からピックアップし掲載するデザイナーを検討している
↓
掲載されている人は以下のように分類できる
A=絶対に外せないトップランナー(一方、大ベテランや大御所は適宜卒業となる)
B=「知らなかったけど良さそう」と思わせるデザイナー(知名度はそこまで高くなくてもよい)
明確なラベリングはされていないかもしれないが、
暗黙のうちに分類もしくは階層化されている。
なお、村松はBと思われる
暗黙のうちに分類もしくは階層化されている。
なお、村松はBと思われる
↓
まずはAから決めていく。ある程度Aを埋めて本の骨格が出来たら、
バランスを見つつBの入れ替えを検討し始める。
バランスを見つつBの入れ替えを検討し始める。
その際、仕事のジャンル、作風や年齢、性別、地域が偏らないように配慮する
「パッケージデザイナーがここ数年同じ雰囲気ではないか?」
「マンガ中心のブックデザイナーをもう1人くらい載せたい」
のような検証と改善が繰り返される
「マンガ中心のブックデザイナーをもう1人くらい載せたい」
のような検証と改善が繰り返される
↓
私の場合、以下のいずれかのような理由を想像しています
- この年に目立つ仕事をしたわけでもないので、
「リスト」の中でたまたま順番が回ってきた
「リスト」の中でたまたま順番が回ってきた
- 「ブランディングっぽい人が多いので、違う雰囲気の人も入れたい」
のような思惑にちょうどハマった
のような思惑にちょうどハマった
===
Aとして掲載されるのは「売れっ子になる」と同義。
Bになるためには、リストに載った(編集部に認知された)上で、その年の特定の枠にハマる必要がある。
次のステップは「どうしたら売れるのか」「どうしたら認知されるのか」「どうやって枠にハマるのか(あるいは枠を出るのか)」という話になりますが、これらはデザイナーのセルフプロデュースの領域なので、もっとそういうことが得意なデザイナーの話を参考にするのがよいと思います。
おわり(2024年9月10日)
追記)ちなみに、あるデザイン本に載ると、それを見た別の本から声が掛かります。そのため、わらしべ長者的にMdNデザイナーズファイルにたどり着いた気もしています。
以前はTDCやADCへ出品しに行くと、昔馴染みに会えて同窓会気分を味わえましたが、近年はオンラインや郵送での出品になってしまいました。そのため今では、友人たちとともにこうした作品集に載ることが、私にとっての同窓会で、とても楽しみなイベントです。